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プロジェクトストーリー:雑学バラエティー「チコちゃんに叱られる!」|仕事を知る|新卒採用サイト|NHKエンタープライズ

WORK プロジェクトストーリー

雑学バラエティー「チコちゃんに叱られる!」
01

雑学バラエティー「チコちゃんに叱られる!」

5才のチコちゃんが、大人たちに素朴な疑問を投げかけ、「ボーっと生きてんじゃねえよ!」と容赦なく叱る。今やNHK総合の看板番組に成長した『チコちゃんに叱られる!』は、どのように制作されているのでしょうか。2018年のレギュラー放送開始時から携わってきた若手ディレクターに、舞台裏の努力と挑戦を語ってもらいました。

業界のレジェンドたちに学んだ、「面白い」の目指し方

M DIRECTOR

プロフィール
所属
情報文化番組
出身校
立命館大学
出身地
兵庫県
趣味
フットサル、旅行
入社の決め手
面接で出会った部長陣が皆さん個性的で型にハマっていなかったこと。また、仕事を通して色んな人に出会い、色んな場所に行きながら成長出来そうだと思えたため。
担当ディレクターT
経歴
2013年4月
新卒入社
2013年6月
自然番組、報道番組の制作を担当
2014年7月
NHK仙台局報道番組部へ研修派遣
2015年7月
キャラクター事業部にて「おじゃる丸」「忍たま乱太郎」などを担当
2017年7月
情報番組部に異動し、「ごごナマ」「チコちゃんに叱られる!」などのディレクター業務を担当
2020年4月
「チコちゃんに叱られる!」海外へのフォーマット販売やオンライン配信イベントを担当。ディレクターとして新番組「この社会の片隅で」の立ち上げにも参画

FLOW

プロジェクトの流れ プロジェクトの流れ
雑学バラエティー「チコちゃんに叱られる!」 雑学バラエティー「チコちゃんに叱られる!」

CHAPTER.01

まったく想像できなかった、チコちゃんの作り方

「ちょっと待って、この番組どうやって作ってるの……」。2017年の年末、『チコちゃんに叱られる!』を初めて見た時は、頭の中が“?”だらけになりました。チコちゃんの表情はどうなっているの? スタジオ収録はどう進めるの? そもそも1本のVTRでロケしたり、再現映像を作ったり、要素が多くない??

NEPに入社して5年。さまざまな現場で番組制作のイロハを学び、一般的な番組ならば映像から作り手の動きが想像できるようになっていました。だからこそ、「得体の知れない番組に参加することになってしまった」と、不安に感じたのをよく覚えています。

当時、『チコちゃんに叱られる!』は新番組としてパイロット版3本が制作・放送され、大評判となっていました。そして翌年4月からのレギュラー放送が決定。制作体制の強化が進む中で、情報文化番組のチーフプロデューサーが私に、「ディレクターとして参加してほしい」と声をかけてくれたのです。

ただし、番組に関する詳しい説明はほぼ無し。最初に渡されたのは、パイロット版のDVDと、「初回の企画会議までに“ハッとする疑問”を考えてきて」という宿題のみ。戸惑う私に、チーフプロデューサーもまだ詳しいことは分かっていないと苦笑しながら、こう話してくれました。「この番組はNHKやNEPにない発想、アイデア、ノウハウが詰まったものになると思う。だからまずは現場に飛び込んで、走りながらそれを学んでいこう」。

雑学バラエティー「チコちゃんに叱られる!」

CHAPTER.02

初めの1歩は、「てるてる坊主」とともに

『チコちゃんに叱られる!』は、“伝説のテレビマン”として知られる民放出身の小松純也さんが総合プロデューサーを務め、NEPと外部の制作プロダクションが協力して制作にあたっています。この制作体制こそ、NHKの放送ルールを遵守しながらも、自由で独創的な作風が生まれる源泉とも言えます。

番組は、総勢50名以上のスタッフで制作しています。番組の演出プランの舵取りをするのは、小松さんをはじめとする制作トップの皆さん。その下で演出担当やディレクターによる7~8班の制作チームが結成され、まずはそれぞれのチームで「素朴な疑問と、回答イメージの諸説」を持ち寄り、ネタ出し会議を行います。その後、制作トップ陣を含めた企画会議で“疑問”をさらに厳選。ここで選ばれた“疑問”を、各ディレクターが「1人1ネタ」担当し、6分ほどのVTRを制作するべく、専門家への取材から構成・ロケ・撮影・編集まで一貫して手掛けていきます。

2018年1月末。初めて企画会議に参加した私は、何が正解か分からず、緊張しっぱなしの状態。「地図はなぜ北が上なの?」「胸キュンって、何?」など、準備してきたネタをプレゼンするものの、完全ボツもあれば、いったんストックとなる案もあり、ハードルの高さを痛感しました。

しかし、「てるてる坊主って、何者?」という疑問で会議の雰囲気が一変。諸説の1つとして、中国の昔話で天候回復のために人身御供となった女の子の話が原点にあるらしいと紹介すると、「これはハッとした」「ちょっと感動的なVTRが出来そう」など、さまざまなアイデアが飛び交い、制作トップからもゴーサインが! こうして私は、てるてる坊主とともに“チコチーム”でのディレクターデビューを果たすことになったのです。

雑学バラエティー「チコちゃんに叱られる!」 雑学バラエティー「チコちゃんに叱られる!」
雑学バラエティー「チコちゃんに叱られる!」

CHAPTER.03

徹底的に取材して、全力でふざける

VTRの制作期間は約1カ月半。チコチームのディレクターのミッションは、まず真摯に、徹底的に取材を行うこと。文献や専門書籍を調べ尽くし、その上でご協力いただける大学教授や研究者の方をリサーチし、事細かく解説していただきます。そして理解を深めた上でセリフ回しを相談し、双方が納得できる構成案をまとめていくんです。

次のステップは、いかに面白いVTRに仕上げていくか。とはいえ、チコチームの場合、演出プランはひとりで抱え込むのではなく、みんなブラッシュアップする方針。決まったフォーマットは無いので、毎回ゼロベースで自由に考えていきます。

企画会議では一生懸命に作った構成案をもとに、スタッフ総出で改善策をどんどん出していきます。それも小松さんを含めた皆さんが、「これ絶対面白い!」と思いついたことを、自分で爆笑しながら発していく。本気で楽しみ、とことんふざけ合う中で、NHKの内外で培われた色々な人の嗅覚を吸収し、ディレクター個人のセンスをはるかに超えたVTRを作り上げていく感覚です。

実際、私のてるてる坊主にまつわる昔話も、最初はイラストでの説明を考えていましたが、同じチームのプロデューサーから「ストーリテラーを立てて朗読劇にするのはどう?」とアドバイスが。そこで感動的な語り手がいいなと、俳優の森本レオさんにオファーをしたところ、情感たっぷりに読んでくださったんですね。

いい声で、一言一言、タメてタメてタメて……。森本さんのお話を聞くうちに、失礼な話ですが、途中からそのタメがどうにも可笑しくなっちゃいまして(笑)。もういっそ活かしちゃえ!という話になり、編集でもあえてカットはせず、「※思うがままに読んでくださいとお願いしました」というテロップを添えて完成させました。

雑学バラエティー「チコちゃんに叱られる!」

CHAPTER.04

今後は、デジタルも活用した「面白い」を

VTRが完成すると、制作トップによる試写を経て、いよいよスタジオ収録へ。てるてる坊主の朗読劇は、MCの岡村隆史さんから「内容入ってけえへんわ!大事なところでタメはるから」とツッコミが入り、大盛り上がり。自分たちの精一杯の「ふざける」が、「面白い」に繋がることがこんなに嬉しいのかと、笑いながら感動してしまいました。

また、日本全国から届くたくさんの反響も大きな自信をくれました。一切妥協のない制作チームなので、時には企画会議が8時間に及んだり、「私センスないな」と落ち込むことも多かったのですが、その苦労も無駄じゃないんだと、頑張る原動力になりましたね。

その後、丸3年にわたって『チコちゃんに叱られる!』のディレクターを務め、最後に手掛けたのは「国によって言葉が違うのはなんで?」という疑問。奇しくも、私がNEPに興味を持ったきっかけが『世界ふれあい街歩き』という番組なのですが、この企画ではカーボベルデ共和国という見知らぬ国の方と出会ったり、世界9カ国の人にリモート取材も実施。「コロナ禍でも、世界とふれあう取材方法はいくらでもある」と気づかせてもらいました。

それに最近、『チコちゃんといっしょに課外授業』というオンライン配信イベントの制作を担当したのですが、これがすごく面白くて。キャストと視聴者がオープンチャットでつながる参加型企画を行う中で、コンテンツ制作の新しい可能性を感じました。

ですから、これからは新番組の開発にも一生懸命取り組みながら、番組とネットを繋ぐプラットフォームづくりなど、デジタルな展開も考えていきたいと思っています。すでに先輩たちと社内SNS上にグループをつくって、アイデア交換も始めていますし、この時代だからこそ作れる「面白いコンテンツ」を生み出していきたいですね。

2021年3月取材