WORK

NEPが手掛ける、手話が得意なデジタルヒューマン「KIKI」。インクルーシブ社会の実現を目指して、手話CGを生成するシステムを用いて開発したものです。聴覚障害のある方への映像サービスをはじめ、様々なコンテンツを全世界に発信しようとしています。そんな社会課題の解決に取り組んでいるのが、システム開発を担当するテクニカルディレクターのMです。
M
プロフィール
- 所属
- DX推進部、デジタルサービス事業部 (兼務)
- 出身校
- 京都大学大学院 情報学研究科
- 出身地
- 東京都
- 趣味
- ゲーム、コーヒー
- 入社の決め手
- 面白い社員が多かったから

経歴
- 2014年4月
- 新卒入社
- 2014年5月
- 番組制作部門に配属。「おはよう日本」、教育番組「テイクテック」などでディレクターを担当。
- 2017年9月
- コンテンツ販売部に配属。配信プラットフォーム向けの番組販売や新サービスの立ち上げを担当。
- 2019年8月
- 計画・広報部と、人事・総務部を兼務。RPAの全社展開、業務改革を自ら企画して実行。新卒採用にも関わる。
- 2024年4月
- DX推進部に配属
- 2024年8月
- デジタルサービス部を兼務。手話CG事業の開発、RPA推進、AI調査を担当。




CHAPTER.01
インクルーシブな社会の実現を3DCGで
私はDX(デジタルトランスフォーメーション)推進部とデジタルサービス事業部を兼務しながら、デジタルヒューマン「KIKI」の開発に携わっています。「KIKI」をより多くの施設や交通機関などに導入してもらうために、クオリティの向上や制作工程の効率化に取り組んでいます。
「KIKI」のミッションは、インクルーシブ社会の実現です。そのために聞こえない人、聞こえにくい人はもちろん、あらゆる人に親しみやすい映像コンテンツを提供したいと考えています。昨年からは、国や自治体のイベント会場や博物館で、「KIKI」による会場案内や、作品解説の実証実験を行っています。さらに、「KIKI」は聴覚障害のあるアスリートの祭典「東京2025デフリンピック」の応援アンバサダーとしても活躍中です。
とはいえ、実際に「KIKI」を見た方からは、「まだまだ手話の表現がわかりにくい」といったご指摘をいただくこともあります。もっとクオリティを高めることで、皆さんの期待に応えていきたいですね。

CHAPTER.02
注目を集めるプロジェクトに緊張感
私の役割は、「KIKI」を支えるCGシステムの開発推進です。技術検証をしたり、開発チームのマネジメントをしたりしています。大学院では情報系の研究をしていたので、システム開発やコーディングについては多少の知識がありました。
かといって、入社してからずっとこの分野の仕事をしているかというと、そうではなく、NHK番組の制作や、番組を配信事業者に販売する仕事も経験しました。その販売の業務をしていたときに、手動で行っていた印税計算をなんとか効率的にやりたいと思い立ち、自動化することに成功したんです。これが今の部に異動になったきっかけかもしれません。
「KIKI」のプロジェクトは社内でも注目を集めていたことに加えて、ミッションの難易度が高いので、途中から参加することになり緊張しました。私は手話やCGの経験がなかったので、早急なキャッチアップが必要でした。手話に関する映像や解説書を見ながら、CGやA Iに関する海外の論文や研究報告をチェックして、「KIKI」で何が実現できるかを模索する毎日でした。

CHAPTER.03
高品質化と効率化の狭間で
「KIKI」はリアルな人物に見えることを目指しています。とはいえ、CGはリアルにすればするほど処理が重たくなり、「コマ落ち」などの問題が起きてしまいます。かといって簡略化し過ぎて、肝心の手話の表現がおろそかになっては本末転倒…。「KIKI」にはこの葛藤が常につきまといます。
手話は手の動きだけではなく、口の形、目の見開き、眉の上げ下げなど顔の動きも言語としての大切な要素となります。細部までのこだわりと、効率的な処理のバランスを取るのが非常に難しく、一番頭を使うところですね。
CGエンジンやプログラム、機材を見直したり、新しい技術が世の中に出る度にそれを試したりと試行錯誤しながら、なんとかプロジェクトを成功させたいと思っています。

CHAPTER.04
期待に応えるものをリリースしたい
「KIKI」のメリットのひとつが、365日24時間稼働可能なデジタルヒューマンだという点です。手話通訳の方は、夜間や緊急時も常にそばにいられるわけではありませんよね。そんな時に、「KIKI」に役立って欲しいと願っています。また、「KIKI」は国外の手話にも対応できるので、海外の方が日本の交通機関や施設を利用する際にも活用してほしいです。
2023年の9月と2024年の2月のイベントで、「KIKI」を聴覚障害のある方々に体験してもらったところ、「表情も豊かで驚いた」「手話に興味を持つきっかけになりそう」などポジティブな反応を多くいただき、開発のモチベーションになりました。皆さんの期待にもっと応えられるよう、次のバージョンの「KIKI」を今まさに準備しているところです。
社会の課題と新しい技術をつなげてサービスにするのが、私の仕事の醍醐味です。たくさんの人やアイデアとつながって、もっとおもしろいこと、もっと便利になることを生み出していきたいと考えています。常に声を掛けてもらえるように、社内で一番、技術に明るい人間でありたいですね。NEPは企画を立てた人が推進者になる文化があるので、手を挙げられる人は楽しいと思います。自分も何かしたい、というアイデアをお持ちの方は、ぜひNEPへ!
2024年10月取材