WORK

児童向けから全世代向けまで、幅広い内容のアニメを放送しているNHK。展開プロデューサーのNは、CS放送や配信サービスをはじめ、DVDやBluーrayなどのビデオグラム化、グッズ展開、さらには海外への販売などを行う“二次展開”を担当しています。莫大な製作費が必要なアニメ制作にとって、二次展開は欠かせない存在であると同時に、「国内外の多くの方へ、NHKのアニメを届けるチャンスがあるのが楽しい」とNは話します。その仕事内容とは――。
N
プロフィール
- 所属
- アニメ事業部
- 出身校
- 東京外国語大学 外国語学部 東アジア課程 中国語専攻
- 出身地
- 栃木県
- 趣味
- 子どもと水族館へ行くこと
- 入社の決め手
- コンテンツビジネスに関わりたかった

経歴
- 2009年4月
- 新卒入社
- 2009年5月
- DVDの営業部門に営業として配属、流通営業を担当。
- 2009年7月
- メーカー営業に担務変更し、ビデオメーカーにビデオ化企画を営業。
はじめての担当企画は「新・三銃士」。韓国ドラマ「馬医」では韓国出張へ。ドラマ、幼児向け、出版社との共同企画、NEPオリジナル企画など様々なタイトルに携わる。 - 2013年6月
- アニメ事業部へ異動。「きかんしゃトーマス」「花は咲く アニメスタ・ーバージョン」「クラシカロイド」「がんばれ!ルルロロ」など制作に関わりながら、印税管理や営業など、制作業務を主に担当。
- 2018年10月
- 第1子出産のため産休、育休。
- 2019年5月
- 復職。印税管理や営業も担当。
- 2021年1月
- 第2子出産のため産休、育休。
- 2023年5月
- 復職。未来投資会議「パパママPJ」参加中
- 2024年1月
- 展開プロデューサーとして、「烏は主を選ばない」「青のオーケストラ」「ギガントサウルス」を担当。
- 2024年4月
- 展開企画部兼務
展開プロデューサー
制作チームと展開チームの間に立ち、双方と密接に連携を取りながら、アニメ作品の価値最大化を促進します。二次展開を企画・推進し、視聴者との接点を作ります。例えば、作品のグッズ化や海外販売、配信プラットフォームへの展開などを通じて作品の広がりに寄与します。
営業支援
展開プロデューサーは、作品の二次展開に向けた営業活動を支援します。国内外の各種セールスへの同行や、資料作成支援、契約内容確認・締結などを担当します。
宣伝販促支援
展開プロデューサーは、全体宣伝販促計画の準備や収支計画の策定などを行います。展開毎に必要な宣伝販促活動の支援も行います。
収支管理
出資に関する収支を管理します。社内外へ収支状況の情報共有や報告を行います。


CHAPTER.01
アニメは放送だけがゴールじゃない
私はアニメ事業部と展開企画部を兼務しています。2009年に入社して以来、13年にアニメ事業へプロデューサーとして異動。『きかんしゃトーマス』『クラシカロイド』『おしりたんてい』など、さまざまな番組に携わってきました。そんな私が、2024年から新しく拝命されたのが、展開プロデューサーという役割です。要は、配信や商品化などの二次展開を推進することです。
アニメは二次展開を前提につくられるので、アニメ事業部は制作から展開まで幅広い業務を行うのが特徴。私は作品を子どものように思っていて、企画段階から携わる時は子どもを生み、育て、送り出すような気持ちです。
さらにアニメは放送だけがゴールではないので、放送として世に出して終わりというのではなく、その後も伴走しつつ、サポートし、見守ります。子どもたちの成長や活躍の様子をみるのはいつもうれしいものです。一方、展開のみで作品に関わる時は、同僚や制作チームのみなさんの大切なお子さんたちをお預かりするような感覚で、よりよい形で世に送り出すために責任感と緊張感を感じながら業務にあたっています。

CHAPTER.02
展開Pは新しくできたポジション
展開プロデューサー(展開P)として携わっているのは、『烏は主を選ばない』『青のオーケストラ』『ギガントサウルス』の3作品。同職では、アニメの二次展開について社内外と調整し、番組の二次展開を最大化するためにできることを考えて実行する、というのが大きなミッションです。
具体的には、海外販売や国内番組販売のセールスに同行したり、セールス用の資料を作成したりします。制作チームと展開チームの情報共有の場である展開会議の仕切りも行います。また、ビデオグラムやサントラなど、一部の展開については直接営業マンとしてメーカーへのセールスをします。二次展開を行う際に必要な権利処理をしっかり行うのも私の役割です。セールスの計画が達成できると、ガッツポーズをしたい気持ちになります。
ほかには、展開を見据えた宣伝計画の準備も業務に含まれます。タイトルによって関わり方はマチマチなので、どのような関わり方ベストになのか、というのを模索しながら進めているところです。アニメは企画によって、さまざまな制作スキームが考えられるので、制作プロデューサーとタッグを組み、企画段階で電卓とエクセルを相棒に収支計画とにらめっこしたり、関係各所と適切な契約を結ぶ、というのも大事な仕事だと思っています。展開Pは新しい役割なので、一体、何をするのが正解なのかきちんと定まっていないのが難しいところです。

CHAPTER.03
視聴者と作品との出会いを生む仕事
二次展開をする理由の一つに製作費の回収という現実的なものがありますが、近年人気のアクリルスタンドなどのグッズ化に関しては、視聴者の方々に、好きなコンテンツに囲まれながら日々を過ごしていただけるという側面もあります。より深く作品世界を楽しんでいただくきっかけになるので、そういった広がりが生まれると作品に触れていただく機会を増やせたのかな、と思えます。二次展開の醍醐味とも言えます。
NHKで放送し終えたアニメは、CS放送や配信サービスをはじめ、海外に番組販売することもあります。NHKでの放送期間を終えているものがほとんどなので、普段配信サービスでしかアニメをご覧にならない方や、海の向こうの人たちにまで番組を届けることができるのが魅力です。NHKのアニメは誰が見てもおもしろいものだという自負があるので、視聴者と作品との出会いを創出する楽しさがあります。

CHAPTER.04
裏方のプロになりたい
展開プロデューサーという役目は、まだ業務内容が確立されているものではないので、試行錯誤を繰り返しています。キャリア的にはアニメ事業部の在籍期間が長いのですが、番組によって業務の中身はバラバラですし、役割もそのときどきで変わってきているので、日々精進を続けている途中です。
業務があまりに幅広いので、たまに「私の仕事って、なんだ……?」と思う時もありますが、俯瞰した見方をすれば「NEPで関わったアニメたちがより大きく羽ばたいていくお手伝いができれば万事OK」という気持ちで、どんな業務でもやってみればいい、と思えるようになってきました。
昔は新しいことに挑戦するのが苦手で、先輩のやり方を見て、学んで、それから恐る恐るやってみるということが多かったですが、最近は「とにかくやってみなければ」「わからないときはわかる人の知恵を借りよう」と徐々にシフトしてきたのが成長できたポイントかな、と思います。だって、迷っている時間がもったいないですから。裏方のプロになること、それが私の目標です。
2024年10月取材